あざとい二人が歩む道

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 デザートはとろりとろけるフォンダンショコラだった。 「中からチョコレートソースがとろけてきます」 チューリップのようなほっぺを抑える花実来さん。口の中で熱いビターなチョコに冷たくて甘いバニラアイスが絡まって、知略に満ちた二つの視線も絡み合う。テーブル分の距離がもどかしい。  まだここでとろけるわけにはいかないから、ブラックのコーヒーで気を引きしめる。すると、ある事に気づいた。 「花実来さん、カフェインレスコーヒーじゃなくてよかった?」 仕事中も眠れなくなるのが嫌でカフェインレスにしていた花実来さんだ。夜にカフェインをとったら朝まで眠れない。 「大丈夫です、今日はまだまだ終わらないですものね」 花実来さんは俺がスイートルームをとっているのを気づいていた。さすが、俺が惚れた花実来さん。  花実来さんのあざとさはガチである。
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