あざとい二人が歩む道

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「次になんとか収入を増やせないかと考えてロスフラワーを使った生け花の展示会をしたたんだ。そうしたら大盛況でね。次々依頼はくるし、市民講座や講演会の依頼もくるようになったよ。他にも空手道場の使っていない時間を町内会や老人会に場所を貸し出すことにしたんだ。これは少しばかりだけれども、労力を使わずに収入を得れるのは大きいよね。それにお父さん!お父さんの空手講座を動画で公開したんだ。お父さんは口下手なようで教えるのが上手だからね」 「本当ですか?父はパソコンどころかテレビも見たことがない人ですよ。スマホも私が連絡をとるために無理やりもってもらっているだけですし」 「大丈夫。口説き落としたよ。俺が弟子第一号」 「えー!!外に出るだけで野良猫は隠れ、スズメは飛び立ち、子どもが泣きじゃくる伝説の赤鬼とも言われた花実来龍恋ですよ」 花実来さんの「果恋」という名前はまさかのお父さんから一字もらったのだ。 「俺は花実来果恋さんにあざとく生きることを指南した葉山幸村ですよ」 戦国一知略に長けた真田家の次男、真田幸村が名前の由来である。 「ど、どうやって調略したんですか」 「それは秘密」 実際には小細工など一切していない。娘さんを守りたい。娘さんの隣を歩くのにふさわしい男になりたいと何度も伝え、教えを乞うたのだ。 「そういえば、葉山さんの胸板が夏と比べて確実に厚くなっています」 「特訓してもらったんだ。瓦割りもできるようになったよ。見る?」 実は今日個室にしてもらったのは特別に瓦を用意してもらうためだったのだ。割るための瓦を用意するだけでプラス25000円だが、演出は大事である。 「いえ、結構です」 25000円!!
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