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 「くそっ!」  高松が銃を撃った。エリカは素早く地面を転がると、連中が乗ってきた車のうち一台の陰に身を隠す。微かにドアを開閉する音が聞こえた。乗り込んだのか?  「早く始末しろっ!」  安川の怒号が聞こえる。  高松は、銃を手にエリカが隠れた車に向かう。だが、何かを感じとり立ち止まった。そして、車の後部座席に向かって何発も銃撃する。  弾切れし銃を下ろす高松。そしておもむろに車に近づき、後部座席のドアを開ける。しかし、誰もいなかった。  次の瞬間、車のボンネットを跳び超えるようにして、エリカが姿を現す。手にはナイフ。それを高松に向けようとしたが……。  高松は振り向きざま、空になった銃をエリカに投げつけた。おそらくこうなることを想定していたのだ。ヤツは機動隊員としても優秀だった。戦闘に慣れている。  「あっ!?」  腹部に銃が当たり、エリカが怯む。更に、素早く動いた高松に右手を捻り上げられ、ナイフを落としてしまう。  高松は右手で彼女の首を掴む。  「あうぅ……」  目を見開き驚愕するエリカ。その表情が、次第に怯えと苦痛に染められていく。  「この小娘がっ!」  力をこめてエリカの首を締めつける高松。彼女の体が軽々と持ち上げられる。  だが……。  エリカは首を絞められながらも、大きく頭を振った。セミロングの髪が勢いよくなびき、高松の目をかすめる。  「うぐっ!」と呻いて一瞬力がゆるむ高松。  エリカはその隙を見逃さず、彼の顎を膝で蹴り上げた。掴まれていた右腕と首が離れる。着地した彼女は、一瞬でナイフを拾うと、くるりと回転しながら高松の胸に突き刺す。  心臓を貫かれ、高松はその場に崩れ落ちた。
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