28人が本棚に入れています
本棚に追加
「昔同じ班だった頃は、お互いに信用しながら仕事はしていた。3年ほど前だ。ただ、公安捜査官というのはチームでありながらも一匹狼に近い面もある。全てわかり合っていたとは言えない」
「じゃあ、即答はできない」
「わかった」と言って再びスマホに向かう。「少し検討させてください」
「いいだろう。ところで、またあの場所を使っているんだな?」
「それも言えませんよ」
苦笑しながら、通話を切った。
ふう、と息を吐く。こういう状況だと、電話1つでも緊張する。それがとけないうちに……。
ドンドンドン、と玄関のドアが激しくノックされた。
身構える嶋津。岡田が脅えるような顔で立ち上がった。
「居留守を使う。静かにしていろ」
嶋津が指示した。だが、不穏な空気は消えない。こんな場所を尋ねてくる相手などそうはいないはずだ。しかもこのタイミングで……。
次は窓ガラスが突然割られた。
ガシャーンという音が響き渡る。
くそっ!
警棒を取り出した。銃は携帯していない。無理にでも持ってくるべきだった、と後悔する。
サッシが開かれ、窓から男達が3人なだれ込んできた。みな銃を持っている。
玄関も破られた。そして現れたのは……。
「高松さんっ!」
直前に電話で話した相手だ。
「ふふ」と冷酷そうな表情で嗤う高松。「告白するよ。俺が安川先生の始末屋さ」
「まさかあんたが、そんなに落ちぶれたとはな」
侮蔑の念を込めて吐き捨てる嶋津。
「逆さ。俺はこれから上がっていく。安川先生のおかげでね。とりあえずおまえ達には、狩りの獲物になってもらうよ」
嶋津と岡田は、男達にあっという間に取り押さえられてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!