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 「ふざけたことを言うなよ」  高松が銃を手に(にじ)り寄ってくる。  島津は、それを鼻で嗤うようにして他の男達に向けても声をかけた。  「おまえ達も、この高松と組むより俺と一緒の方がいいんじゃないか? こんな傲慢なヤツ、気に入らないだろう?」  男達も島津を睨んでいる。あきらかに、連中の気をこちらに向けさせることに成功した。  頼むぞ、岡田――。  「島津君、と言ったかな?」安川が面白そうな表情をしながら声をかけてきた「なかなか(したた)かな男だ。狩りの獲物としても丁度いい」  ギラリと目を光らせる安川。  「国民のためと言いながら、陰でマン・ハンティングか?」  「ふふ、遊びだよ、遊び。国会は肩が凝るんでね。遊びが必要なのさ」  不遜な態度で安川がそう言ったとき、突然車のエンジン音が大きく鳴り響き、先程乗せられてきたワンボックスカーが勢いよく走り出した。岡田が成功したのだ。  「くそっ!」と高松やその仲間達が銃を手にワンボックスを見る。  運転席の岡田は悲壮な表情だ。  車は一旦野原の方に猛スピードで向かって行ったかと思うと、Uターンしてこちらに戻ってくる。高松達を本気で轢いてしまおうとしているようだ。  慌てて避ける男達。高松も受け身をとるようにして転がった。  一旦車が停まる。  「島津、今だっ! 来いっ!」  岡田が叫んだ。言われるまま駆け寄る島津。利香がサイドのドアを開けてくれた。  島津が飛び乗ると、車は再び猛スピードで走り出す。
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