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 「よしっ! 突っ走れ」  島津が声をあげた。見ると、岡田は前方を凝視しながらハンドルを握っている。山道だし狭い。必死さが伝わってくる。  利香は後部座席に戻り、脅えたように端に身を寄せて後ろを見ていた。  その視線を追うと、高松達が乗る車が数台追いかけて来るのがわかる。助手席から身を乗り出した男達が、銃を構えていた。  まだ危機は去っていない。むしろ高まったと言えるかもしれない。  ビシッと音がして、サイドミラーが破壊された。撃たれたのだ。そして、後部ウインドウにも次々に銃撃がきた。  「うわっ!」と岡田が叫んだ。左の肩に被弾したらしい。車が激しく蛇行する。  まずいっ!  島津は慌てて運転席に身を乗り出すが、遅かった。  ガツンッ!   激しい音がして、車がバウンドする。次の瞬間、島津の体はまるで洗濯機に入れられたかのように転げまわる。そして頭を何かにぶつけ、一瞬気が遠くなった。  ワンボックスカーは横転し、更にひっくり返っていた。  島津は全身に痛みを感じながらも、なんとか岡田の元へ行く。  「まずいな。やられちまった」  岡田が舌打ちする。2人して割れたウインドウから這い出した。  利香は?  彼女の姿が見えなかった。視線を巡らせる島津。そこへ、数台の車が走り寄ってきて停まる。  高松が怒りと憎しみの目をしながら降りてくる。  少し離れたところにはベンツ。安川も降り立ってこちらを見ていた。
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