告白したらあわよくば好きになってもらえるって本当ですか

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 それから一ヶ月が過ぎた。  今日は三日だ。僕はスマホに表示された日付を見て、八木くんに告白する日だなと思ったが、すぐにそんなことはしなくていいんだと思い直す。  十回告白して振られたから、八木くんのことは諦めるんだった。  告白すらできないことに寂しく思った。結局毎回振られるんだけど、僕が告白するときだけは、人気者の八木くんを独り占めすることができたから。八木くんとふたりきりになれたから。  つい八木くんのほうを見ていたら、バチっと目が合った。  まずい。  僕はサッと目を逸らした。あぁ、八木くんと目が合っただけでドキドキする! 「蓑島、一緒に帰ろうぜー。俺、今日帰りにコンビニ寄りたいんだけどいいか?」  榎戸が僕のところへやってきた。  そうだ。毎月三日は僕が八木くんに告白して下校が遅くなるため、榎戸は校門を出た先で待ってくれていた。  でももう今月からは八木くんに告白しないから、榎戸は教室まで僕を迎えにきたんだ。 「いいよ、僕もついでにミントのやつ買おうかな」  いつも携帯しているミントラムネが無くなりそうだったから、僕もついでにそれをコンビニで買うことにしよう。  僕は黒リュックを背負って、榎戸と教室をあとにする。  榎戸とくだらない話をしながら廊下を歩いていたら、急に後ろからぐいっとリュックを引っ張られた。 「蓑島、ちょっと待て」 「えっ……八木、くん?」  僕のリュックを掴んでいるのは八木くんだった。  八木くんから僕に話しかけてくるなんて本当にレアなことで、僕はそれだけで嬉しくなった。 「今日、俺に用があるんじゃないのか?」  え? ああ、八木くんは僕が告白の日を忘れたと思ってわざわざ声をかけてくれたのかな。 「特にないよ」 「だって今日は三日だぞ?!」 「うん、知ってるよ」  もう八木くんに告白するのはやめたんだ。なんてことまでは言えない。  十回告白して諦めると決めたのも僕の勝手だし、毎月三日は誰かに告白しなきゃいけない決まりなんてないもんね。 「えっ、蓑島……だって俺はお前の——」 「八木! うるせぇんだよ! 俺たち急いんでんだからさっさと失せろっ!」  突然榎戸が大きな声を出して八木くんの言葉を遮った。  僕は何かを言いかけた八木くんのことが気になったけど、「行くぞっ!」と榎戸に腕を引っ張られ、連行された。  八木くんはそれ以上は追いかけてこなかった。  結局何を僕に伝えようとしたんだろう。
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