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そしてまた一ヶ月経って、三日がやってきた。
僕は今日、榎戸に告白されるのかな……。
もし告白されたらどうしよう。
僕の気持ちはやっぱり八木くんにある。でも八木くんのことは諦めなくちゃ。
榎戸はいい奴だし、案外付き合うことにしたら上手くいくのかもしれない。
もし榎戸が本当に十回告白してくれたら。そのときには僕の八木くんに対する気持ちも整理できているかな……。そうしたら僕は榎戸を——。
「おはよ蓑島」
登校し、靴を履き替えている僕の肩をぽんと叩いてきたのは八木くんだった。
「えっ、あっ、おはよう……」
びっくりしたぁ。朝から八木くんの爽やかスマイルが拝めるとは随分とラッキーな日だ。
「蓑島さぁ」
「うん」
「今日の放課後、体育館の裏に来てくれないかな? 話があるんだけど……」
「えっ!」
話?! 八木くんが、僕に折り入った話?!
「う、うん、わかった。行くよ。放課後、体育館の裏に行く」
八木くんに話があると言われただけでドキドキしてきた。だって、都合のいい僕の頭は、まさかのことを考えちゃう。
「じゃあ」
八木くんはそれだけ言って颯爽といなくなってしまった。ああもう、去っていく背中だけでかっこいいなんて八木くんは罪な男だ!
それからの僕は授業どころじゃない。放課後のことばかり考えて一日ソワソワしていた。
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