127人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
帰りのSHRが終わったあと、僕は急いで支度をして真っ先に体育館の裏へと向かった。だって八木くんが先に来て、僕がいなかったらその時点で僕にその気がないと思われて、八木くんが帰ってしまったら大変なことだから。
はやる気持ちで体育館の裏に着き、僕は八木くんを待っていた。
でも、僕の目の前に現れたのは八木くんではなく榎戸だった。
「榎戸、どうしてここに……?」
「蓑島。残念だけど八木は来ないよ」
榎戸の言葉がグサリと僕の期待に高鳴る心を打ち砕いた。
「なんで……」
「俺が八木に蓑島を呼び出してくれるように頼んだから。お前に三回目の告白をするために」
そうだったのか……。
急に八木くんがあんなことを言うとはおかしいとは思ってた。八木くんが僕に話なんてあるわけないよね。
「蓑島。無理して八木を忘れなくてもいい。八木を好きな蓑島のままでもいいから、俺の恋人になってくれないか? そしたら俺が八木を忘れさせてやる。俺が蓑島を幸せにするから」
榎戸はずるい。いつもふざけてる奴がこんなときだけ急に真面目な顔をするなんて。
僕は、榎戸を好きになれるだろうか。こんなにも僕を想ってくれる人はそうそういないんじゃないだろうか……。
「僕は——」
最初のコメントを投稿しよう!