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「やっぱり文房具の皆さんって、こうやって自由に動けるようになっても、誰かに使ってもらいたいものなんですか?」
「は?当然じゃん、そもそもその為に居るんだからさ、つーかイロエンビツだって自分でキレーな絵描くよりオリー様やビアちゃんに使われてヘッタクソな絵殴り書きしてもらう方がよっぽど嬉しいに決まってるしよ。」
「そういうものなんですね。だったらもし……いやもしですよ?私がパンチさんを使う……ってなったら……」
「マジ!?使ってくれんの!?」
「……嬉しいんですね、分かりました。」
たとえ持ち主からでなくても、それが誰であろうととにかく使われるのがモノにとっての喜びであるというのは、持ち主である職人さん以外の使用者が文房具達を使っていた事から想像できていたが、言葉を遮ってまで食い付いてきた事には驚いた。
「うん、そうですね、上手く使えるか分かりませんが……ちょっと待っててください。」
「待っててやるからアガる音楽かけろよな。」
「夜中ですからあんまり大きな音は出せませんよ。」
「ヒューDJ分かってんじゃん。」
私がリミックスしたイチオシの曲を流すと、それは途端に機嫌よくクルクルと踊り始めたので、私は普段使わずホコリにまみれた棚へと向かった。
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