とうとうやって来た瞬間

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兄から注意を受けた私はより一層自分を律していた。会社に居る間だけならと何とか踏ん張れるだろうと。 秘書課の藤野さんには入社当日から本当にお世話になっている。悪いなと思う気持ちが有るのなら一日も早く仕事を覚える事だと何時も自分に言い聞かせて来た。藤野さんに悪いなと思うのは彼女自身の秘書の仕事が有るのにも関わらず私のフォローも有るからきっと負担が大きいだろう。「大丈夫よ、慣れてるから」と言ってくれても矢張り申し訳ないと思うし早く一人前にならねばと毎日必死だ。 秘書の仕事、主な物は、私の場合、副社長のスケジュールを無理なく組む事。最初のひと月は、藤野さんもチェックしてくれてるから安心だけどそうそう何時も彼女ばかりに頼ってる訳には行かないのだ 依頼される副社長への面談も誰も彼も無差別に入れる訳では無い。振り分けるのは、副社長や藤野さんに勿論、確認してからなのは言うまでもない。大事なお客様なのかと身構えていたら、唯の押し売りだったりもするので、そこは慎重な対応が必要だ。 毎朝のルーティンは、朝一番のコーヒーをお出しした後に副支社長室にて本日の予定を副社長と二人で確認しながら読み上げる事が恒例だ。
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