来たかった場所

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どうして、亜香里が北海道に一人で居るのかと言えば失恋による傷心旅行なのであった 兄と藤野さんの密会を目の当たりにしてしまい長い片想いにのである。 社内の相手と不倫をしてる兄には心底落胆してしまった。私が妹だと周囲に知られたく無いらしい兄だが社内の人間と不倫してる方が絶対知られたく無い筈では無いかと私は確信してるが。(バレる筈が無いと(たか)(くくっ)てるのか?) 未だに男性と交際した事さえした事ない亜香里にとって、不倫に走る兄を到底理解出来ないでいた。兄への気持ちをすっぱり諦め改めてつくづく告らなくて良かったと胸を撫で下ろしていた。 『そうだ、旅行に行こう』と思い立ち真っ先に浮かんだのが兼ねてから行きたかった『青い池』であり迷うことなく北海道に決めたのだった。 亜香里の中にもう迷いは無かった。傷心旅行に行って何もかもやり直したい。 勿論失恋相手は兄だけれど。 亜香里は兄を想う事をすっぱり諦めたのだった。思えば中学生の頃からだから、長〜い片想いだったなと今更ながらに思う。 すっぱりと未練がましくなく断ち切れるのだろうか。この旅行で亜香里なりに過去からの決別をして、新しい自分に生まれ変わる積もりでもあった。 失恋を癒すには昔からいうように『時間薬』又は『新しい恋』で上書きするのが一番の近道だと。 簡単じゃないか、別な男の人を好きになれば良いのだから一挙に解決するじゃないか。 休み明け、私はどんな顔であの二人を見ればいいのかと今までの様にはきっと出来ない 結局、兄に気持ちを打ち明ける事も無いままにひっそりと亜香里の恋が終わったのだ。
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