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私は久し振りに母親の声が聴きたくなって仕事終わりに会社を出てから実家に電話を掛けた。
『あ、お母さん亜香里よ。 夕飯の支度中だった?今仕事終わりで会社を出た所なの。もし忙しいなら掛け直した方が良い?」
「あら亜香里。随分ご無沙汰ね。大丈夫よ、下拵えはもう済んでるから。其れにね今夜は康夫さん(父親)が夕飯要らないって言うから私一人だしね。どうしたの?何か有ったのね」
「久々にお母さんの声も聴きたかったし。私先日一人で、北海道に旅行に行って来たから買って来たお土産渡そうと思って」
「そう、北海道へ、楽しかった?」
「うん楽しかった。自然を堪能出来たし、やっぱり北海道はスケールが大きかったよ」
「其れで、こっちには何時来るの?三連休辺りとか?」
「出来ればお父さんが出掛けてる日がいいんだけどな。折り入ってお母さんに聴いて欲しい大事な話が有るの。お父さんには言い難い話なの」
「貴女仕事は休んで来るの?お父さんがゴルフに行く日が有るからその日に来なさい」
「未だ半人前だから、平日はなるべく休みたくないんだ。ゴルフに行く日は何時だか分かる?」
「三連休の真ん中の日かな、その日で大丈夫?」
「うん話は直ぐ終わるから。その日は泊まってもいい?お母さん」
「勿論、いいわよ。貴女の好きなおかずを作ってあげる。夕飯は三人で食べましょうね」
「わーい、楽しみ、お母さんの味には叶わないもの。じゃあ、ね」
そう言って、私は電話を終えた。
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