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私は持って来た手提げの紙袋から母に渡すお土産をテーブルの上に置いた。
母が二人のお茶を置こうとして土産に目を留めて瞳を輝かした。
「あっ、あのお店のクッキーね。久し振りに食べるわ」
「これって北海道土産では定番だよね。今北海道以外では買えない話題のクッキーもお父さんと食べて見てね。アーモンドパウダーが入ってて凄く美味しいの。後ね蒲鉾なんだ。お父さん練物好きだしお酒の摘みにもなるかなと思って。そのまま食べても煮ても良いし」
「今はこうして真空パックで売ってるのね、日持ちするように」
「食べて欲しかったパンロールって練物は真空パックになって無かったから持って来れなかったのは残念だけど」
「練り物好きだから、お父さん喜ぶわよ、きっと」
「そうだね。ねぇねぇお母さん、早くこのクッキー食べて見てよ、絶対日本茶とも合うはずだから」
「うん、有難う」
「北海道旅行はどうして?急に思い付いて?」
「そうなの。でもずっと行きたかったのはホントよ」
(母親にも失恋した事は矢張り言えないなぁ)
「……そうなんだ」
誤魔化す様に、私は母が淹れてくれたお茶を一口、啜った
母がお茶を淹れてくれた湯呑みも私専用の湯呑みで、其れが何故か亜香里には嬉しかった。
「美瑛に有る青い池が、本当に綺麗なブルーで素敵だったの」
私は自撮りした青い池の写真を母に見せた。
「あら本当に、ブルーだわ。凄く綺麗ね」
「でしょう?でもね、何時も綺麗に見えるとは限らないのよ。台風後や、雨後はブルーじゃなくなるし、自然が相手だけに難しいのよ」
「自然現象だからなんでしょう?」
「うん、そうなの」
「それはそうと亜香里ちゃん大事な話って?お父さんが帰って来る前に話してくれる?」
「……そうなの、実はね…」
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