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そこから杏香は資格をどんどん取得して、セミナーなどにも通うようになって、俺や朗と肩を並べてシステムやインターネットのことを語れるくらいになった。そんな杏香のことが可愛くて堪らない。本当は早く結婚したかったけど、頑張っている杏香を見たら、結婚よりも仕事をしてる方が楽しそうに思えて、プロポーズはまだまだおあずけにした。
大学生になった杏香は、化粧も大人っぽく、服装も前よりオシャレになって目が離せない。でも、いつか俺の手から飛び立っていくのでは…なんて思ったりもして、昔みたいに、またフラれるかもって悩んだりもした。俺はなんだかんだで、恋愛にはまだまだ不慣れなんだ。杏香は年下なのに、俺よりも立ち回りが上手い。いつも俺は杏香にリードされている。
*
そうして。
朗が少し悩んでいた俺に茶封筒を差し出して、
「お前が欲しかったアシスタントの面接、やってくれよ。俺はクライアントのところに行ってくるから」
と言い出すと、俺は驚いて朗を見つめた。
「は?!面接とかお前が全部やるって言ったじゃん。俺、無理だよ、そういうの」
「大丈夫。世間話でいいんだよ。スキルは事前に確認してあるから、スキル不足は雇わない。あとは人となりを見ること。お前はそういうスキルも磨けよ!」
そう言って朗は笑いながら手を振って、「アトヨロ〜」と言って会社を出ていった。ハジメくんや祐美ちゃんも俺に振り返り、
「あ、面接はホテルのラウンジでやるって。朗さんからのメール、送りますねぇ、凌馬さん」
とハジメくんが言うと、祐美ちゃんも微笑んで、
「もう相手の人、向かってますよ。面接時間まであと15分です」
と言いながら二人は俺を見つめて、真顔で同時に頷いている。
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