第3話

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彼は私を見る。よく見つめる。 そんな時、私は少し照れてしまうというのは内緒。 ひとの顔を見る癖は、私に対してだけのものじゃないかもしれない。 そう思うと、のぼせ上ってはいけないと思うんだ。 「……千里は彼女作んないの」 「かの」 ごほっ、と彼はむせる。 喉に生ハムが詰まったのか、胸をとんとんと叩いて、お茶を飲み干す。 そして濡れた唇を手の甲で拭いながら、また私を見る。 すぐさま、視線を落とした。 酔いに任せて、余計なことを言ってしまった。 妙な沈黙が流れる。 私と一緒にいるってことは、そういうこと? でも彼は一切私に手出しをしない。 チッチッチッと、壁掛け時計の秒針の音がやけにうるさく響く。 この針の行く先は、何処? 私たちの行く末は、何処なんだろう?
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