絶望の作り方

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 俺は死んでしまうが、リョウタは違う。  たくさん勉強して。  たくさん働いて。  家族を築き、幸せになりたい。  リョウタの口から出るのは、俺が心の奥底で望んでいた些細な幸せ。  道を踏み外した俺には、もう味わう事が出来ない幸せだが、リョウタの中で俺の血が生き続けるのだから、俺が体験しているのと同じだ。  今まで他人の幸せなど願う事はなかったが、自分の分身である少年の未来が、光溢れるものであることを祈った。  少し前、全てを終わらせるためにたくさんの他人を犠牲にした俺は、リョウタと出会って変わった。  与える事の喜びを知った。  感謝される喜びを知った。  無意味だった人生に意味を見出した。  全てをリョウタに託し、俺はただ死刑執行の日を待った。  しかし、リョウタの身体に限界が来る方が早かった。  ◇◆◇  リョウタの体調が急変し、緊急手術が必要となった。  俺はドナーとして、共に手術を受ける事になった。 「大丈夫だ、リョウタ。俺の血ならいくらでもやる。お前の手術は、絶対に成功する」  隣で苦しそうに息を吐くリョウタに、俺は声をかけた。
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