絶望の作り方

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 リョウタは何も言わなかったが、目元を細めて笑った。 「麻酔を入れるよ。意識が無くなるけど、心配しないで」  先生の声が聞こえた。  薬が投与されたのだろう。俺の意識は次第に遠く遠くなっていく。 (目が覚めたら、リョウタはきっと元気になっている。そして俺の代わりに光ある人生を歩んでいくんだ。そして……、俺の人生は意味あるものへと変わる)  リョウタの元気な姿を想像しながら、俺は意識を手放し、後の事を先生に任せた。  ◇◆◇  目が覚めた。  どれくらい時間が経ったのだろう。分からない。  身体を動かそうとした瞬間、俺は自分の全身がベッドに拘束されている事に気づいた。  何とか首だけを持ち上げると、この部屋にいるたった一人の人物に向かって叫んだ。 「せっ、先生! これはどういうことだ‼ 手術は……? リョウタの手術はどうなったんだ⁉」  確か俺は、先生に全てを任せてリョウタの手術に臨んだはず。   先生は、いつものとおり微笑みを浮かべて口を開いた。 「ああ、リョウタ君は死んだよ」  何を言っているのか分からなかった。
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