11人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
絶望の作り方
◇◆◇
俺の人生に意味などなかった。
何かを生み出すこともなく、ただ消費していく毎日。
誰かに求められることもなく、誰かに与えられることもなく、誰かに与えることもなく、自分の中で全てが完結していた世界。
自分が持っているものを全て消費した時、全部終わらせようと思った。
――持っている側の人間を、道連れに。
◇◆◇
「助けて欲しいか?」
人々が逃げ惑い悲鳴を上げる中、目の前の女に問う。
どこか特別な場所に出かけていたのか、着飾り整えられた服装は今や見る影もない。
女の赤く染まった目は、この左手に握られた髪の毛の主に向けられている。
この女の子どもに。
そして右手には、銃。
女は俺の問いに対し、操られたかのように何度も首を縦に振った。
「お願いします……その子だけは……。私はどうなってもいい! その子だけは……助けて下さい‼ お願い……します……」
目元は涙で流れた化粧で汚れ、黒い筋を作っている。
最初のコメントを投稿しよう!