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皿に乗った少量の飯、汁物、葉っぱを炒めたようなおかず。そして、
(……プリンとか。ガキかよ……)
子どもなら大喜びしそうな安っぽいプリンが付いていたが、生憎俺は甘い物が苦手だった。
リョウタはトレイを取ると、急いで部屋の隅に戻り食べ始めた。まるで何かに怯えるように、細い身体に詰め込むように必死で口の中にかきこんでいる。
何故、その時そうしようと思ったのかは分からない。
俺は、リョウタの横に立った。
今まで一言も口をきかなかった少年が、怯えた表情でこちらを見上げる。
「おい、これやる」
俺は、プリンをリョウタのトレイにのせた。
リョウタは、何も言わなかった。ただ驚いた表情を浮かべ、俺とプリンを交互に見つめ、しばらくした後、
「……ありがとう……ございます……」
少しだけその白い顔に笑みを浮かべ、礼を言った。
◇◆◇
その日を境に、リョウタが話しかけてくるようになった。
俺がどんな犯罪を犯したのかは、尋ねなかった。
「死刑囚なんだから、大体想像はつくよ」
一度なぜ聞かないか尋ねた時、リョウタは苦笑いをしながらそう答えた。
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