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「先生、リョウタのドナーってそんなに見つからないものなのか?」
俺の体調管理にやってきた先生に、ある日尋ねた。
先生は少し難しそうな顔をし、そして諦めたように息を吐き出した。
「病気というよりも、血が問題なんだよ。リョウタ君の血は特殊でね。その血をもつドナーが見つからないんだ」
血が特殊。
この言葉に、引っ掛かりを感じた。
昔、親が金のために俺の血を売っていたことを思い出す。
「先生、一度俺の血を検査して貰えないか?」
気が付いたら、そんな言葉が口から飛び出していた。
先生は驚いた表情を浮かべたが、すぐにいつもの穏やかな微笑みに戻ると、一つ頷いてくれた。
「分かったよ。君の血がリョウタ君と一緒かどうか、調べてあげよう。万が一、血が一致したら……」
「俺が、リョウタのドナーになる。どうせ死刑囚なんだ。血だけじゃなく、臓器でもなんでも持っていけばいい」
「あはは、太っ腹だね。君の気持ちは分かったよ。結果が出たら報告するよ」
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