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そう言って先生は俺の腕から血をいくらか抜くと、部屋を出て行こうとした。しかし、俺の声が先生の足を止めた。
「先生。俺、今まで自分の人生に意味などないと思っていた。でも、リョウタのドナーになれたら……、こんな俺の人生にも意味が出てくるかもしれない。だから……、頼んだ」
先生は振り返らなかったが、右手を振って俺の言葉に答えてくれた。
心が動いた気がした。
◇◆◇
リョウタと俺の血が一致した。
俺は、リョウタのドナーになる事を決めた。
その話をリョウタにすると、始めは恐縮していた少年だったが、嬉しさは隠せなかった。
何度もお礼を言われた。
何度も手を握られた。
ありがとう。
ありがとうございます。
今まで生きてきて、これだけ感謝の言葉を浴びせられたのは初めてだと思う。
それだけで、ドナーになる事を選んで良かったと思った。
無意味だと思っていた俺の人生に、ようやく意味を見いだせた気がした。
俺の人生は、リョウタを生かすためにあったのだ。
リョウタと俺は、これから先、何をしたいのかを長い時間話し合った。
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