1話 ダークサイドの少年

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 なぜ瑠人が最後に「しおくん」と書いたのか、僕にもわからない。  潮風のことをしおくんと言っているのは文面を見れば明らかだけど、ソルトである僕は、彼が僕のことをしおくんと呼んだのではないかと考えてしまった。  潮風、しおかぜ、しお、塩、ソルト。  考え過ぎかもしれない。別に僕は彼を海に「おいで」と呼んだ覚えはない。だけど彼は僕に呪われ、精神的におかしくなってしまったのだ。  そして海へ誘われ、海水の中へ、塩水の中に消えてしまったんだ。  でも……そっか。だから僕の名前はソルトなんだ。  僕は悲観し、絶望し、しばらくその場を動けなかった。
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