サイダーと恋模様

11/14
前へ
/14ページ
次へ
 月日は流れ、卒業式の日の朝の出来事だった。  クラスの女子に肩を支えられながら教室に戻って来たあっちゃんは、よろけながら自分の席に着くと机の上に突っ伏して泣きじゃくった。 「フラれたって、ニッシーに」  ペットボトル片手に戻ってきたカナちゃんが、私にだけ聞き取れるような小さな声で囁いた。 「付き合ってる人がいるからって。もっと適当なこと言って上手くかわせば良かったのにね」  うげっという表情をするカナちゃんから視線を逸らして、私は席から立ち上がった。 「やっぱ私もなんか飲み物買ってくる」  教室を出る間際、泣き崩れるあっちゃんを取り囲んだ面々が「頑張ったよ」「ニッシー、マジで最低」と口々に慰めの言葉を掛けているのが聞こえた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加