サイダーと恋模様

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 通っていた高校はかつては女子校だったが、私が入学した年から男女共学になった。  共学になり間もないせいか男子生徒の比率は少なく、私の学年では隣のクラスに約二割いる程度だった。  下駄箱でローファーに履き替えて帰ろうとすると、生徒玄関で男子生徒が数人、下校する女子生徒を眺めながらにやにやと笑っていた。 「いやぁ、今の子は非処女だな」 「マジか」  最悪だと私は心の中で愚痴った、でも生徒が通れる玄関はここにしかない。  この時間のバスを逃してしまうと、推しのアイドルが出ている歌番組をリアタイ出来なくなる。  私は背負っているバックパックの肩紐をぎゅっと握り締めると、意を決して玄関へと足を進める。  俯きながら足早に進むと、右横から男の声が聞こえた。 「これは処女」  ちらりと声がした方へ視線を向けると、茶髪でピアス跡のある男子生徒が、さも人を小馬鹿にした薄笑いを浮かべてこちらを見ていた。  あははと笑い声が聞こえてきて、私は耐えきれずその場から駆け出した。  男子なんて嫌いだ、ああいう話で盛り上がったり馬鹿げた事しかしない。  私は絶対にこの先、恋愛なんてしないと思っていた。
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