2.

10/29
267人が本棚に入れています
本棚に追加
/436ページ
「…ちょっと、ちょっと待って…!」 急に後ろから掛けられた声は、瞬時に振り向くのには充分な甘い声で。 「…きゃ…?!」 「…わ、ご、ごめん…!距離、間違った!」 瞬時に振り返ったら、思いのほか近づいていた距離に、体同士がぶつかってしまう。 よろけた私の腕を、柔らかく掴んだのは…、 「…久保田さん!」 「あ、バレてた?」 相変わらず、目深に被られた帽子。 でもその声は、優しさを纏っている。 なぜだか急に上がった自分自身の体温に、戸惑う。 「大丈夫?」 私を下から、覗き込もうとする久保田さんの気配に、 「…や、ちょっと、見ないで、ください…」 赤い顔を見られたくなくて、咄嗟にその場にしゃがみこんだ。 ・
/436ページ

最初のコメントを投稿しよう!