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彼は部屋の隅にあるワインセラーから一本取り、グラスも持つと、ソファーに座る。
「今日は、これでいこう」
そのワインをグラスの半ほどまで注いだ。
側のスイッチを入れ、一口飲む。
すると、彼が居住する階のみが電動で動き始め、部屋の向きを変えていく。
もう既に雨は止み、残照に照らされた大都会の頭上には、見事な虹が出現していた。
「おおー‥‥。またと無い絶景だ‥‥。神よ、サンキュー」
彼はコンポのスイッチも入れる。
ドビッシーの名曲が流れる中‥‥
‥‥にわかに、風花のような雪が舞い始めた。
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