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「母様、僕ね、夢があるんだ」  庭園で花を摘む息子が無邪気に笑い言った。  思わず驚きすぎて、言葉が出ない。でもかまわず息子は言い続ける。 「王国を支えるんだ。将来、叔父が僕の爵位を継がせてくれるって約束したんだ。この前に。それで、王国の皆が幸せになれる国を作るんだ」  6歳の息子が発言したとは思えないほどしっかりした夢だった。 「でもまずは、お兄ちゃんとしてしっかりすることかな? まだサーシャは小さないからね!」  乳母が抱える弟の頬を指でつつき、とろけたように笑う息子が愛おしい。  この時代、政略結婚で気が合い、こんなにも幸せなのはまれ。でも私は夫婦円満、家族円満で、まだ欲しるのは欲張り? 「母様の夢は?」 「私の夢は――家族全員で幸せに暮らせるのが夢ね」 「僕もそうだよ」  家族全員で幸せに暮らせるのもそうだけど、、私は――過去に戻って殿下ともう一度だけ、ゆっくり話したい。ただ、それだけのことが私の夢なのかしら―― 「ねえ、母様?」  その一言で我に返り、急いで相槌を打つ。 「そうなのね。素晴らしいわ。その為に何事も頑張りなさいな、立派な後継者になれるように」 「うん! ねえ、今後いつ宮殿に行けるかなあ。また、宮殿の晩餐会に出席したいなあ。叔父様に会いたい」 「近いうちに会えるはずよ。国王陛下にも御挨拶をしに行きなさい。きっと、可愛がってくださるでしょうから」 「そうだね」
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