真相

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真相

 晩餐会の途中、私は晩餐会を抜け出して噴水がある方へ少し歩いた。  そこは昔を変わらず、美しい水が溢れる場所で夜風が少し涼しく、とても落ち着いた雰囲気であった。 「マリー・エリーザベト」  低く色気がある声で呼ばれ、後ろに振り向く。 「殿下」 「今宵も美しい。久しぶりに、ゆっくり2人きりで話したかった」 「――珍しゅうございますわね、甘い言葉を囁かれて。宮廷の娘達が騒ぐのも、貴方のその行動からだったのですね」 「許しておくれ。――騙されたと思っただろう? 月夜の下で約束したことを」 「ええ。あんなことを言われたのに、騙されたと思いましたわ。『噂通り、ただのプレイボーイ』かと。でも今日、真相が全て分かりましたわ。いつも忙しくて邸にいない理由も、宮廷ばかりお出掛けなさる理由も」 「――思い出のこの場所を、貴女に是非贈りたくて。その為に一生懸命、仕事に打ち込んでいたんだ」 「……まさか、贈ってくださるとは思いませんでしたわ。夢のようで、今もまだ夢の中のよう」  私の手を取り、殿下は口付けした。 「これからも永遠に、隣に居てください」  それはかつて幼き頃に約束したとき同じ光景――  私は確か、一歩前に足を踏み出して…… 「もちろん。約束します」  そして、殿下が抱きしめた。  幾つになっても、愛し合う2人は変わらず、これからも永遠に幸せの空の下にいることだろう。 「お忘れになられてなかったのですね、約束を――」  
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