狂愛Ⅱ《愁弥side》

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一瞬、何をされたのか分からなかった。 理解して驚いた瞬間、綾はそのまま俺を押し倒した。 「綾っ…放し…」 「やだよ」 力強く俺の両手を押さえて、俺をじっと見つめる。 「金曜日の夜、ルイの家にいたのか?」 なぜ綾がそれを知っているのかが理解出来なかった。 俺がルイに抱かれたことも知っているのか? 俺は無意識に目をそらした。 「お前の好きな奴ってルイ?」 もしルイを好きだと言えば、解決するのかもしれない。 でもそれは事実ではないし、ルイにも悪い。 何より、これ以上嘘に嘘を重ねたくない。 どうすればいいんだ―… 「こんな所にキスマークつけるなんて挑発してるとしか思えねぇな」 「え?」 ルイはあの時、キスマークをつけていたのか。 全く気が付かなかった。 綾は怒っている。 そして強引にキスをしながら、俺の服を脱がせていった。 「ふ…ぁ…綾、」 抵抗しようにも、綾の力は強く微塵も動けない。 しばらくすると綾のキスが気持ちよくて受け入れている自分がいた。 「なぁ、そいつと俺のどっちがイイか教えろよ」 綾が俺の耳を舐めながら問いかける。 そんなの決まってる。 俺には綾しかいないのに。 他に比べるものなんて無いのに。 なぜこんなに怒っているんだ。 「や、め…綾っ…あ、いやだ」 「その嫌がる顔が俺を逆に欲情させてるんだぜ?」 首筋に吸い付いたあと、また激しくキスをされる。 綾の舌が気持ち良くて俺も舌を絡ませた。 キスを止めて綾が俺を見つめて言う。 「俺のモンになれよ」 何を言い出すのかと思えば。 お前は山田が好きなんだろ? 俺は好きな人が出来たと嘘をついて必死に綾との関係を終わりにしようとしているのに。 こんなにも揺らぐようなことをして、何がしたいんだ? それなのに嬉しくてそれが苦しくて涙が溢れた。 「誰にでも同じことを言うのか?お前は山田が好きなんだろう」 「雅鷹?」 「山田と旅行に行くんだろう…?」 涙で綾の顔がよく見えない。 それでよかったと思った。 綾は俺の発言に困ってしまうと思ったから。 綾の困った顔なんて見たくないんだ。 ただの幼なじみが嫉妬をするなんて。 「雅鷹にはアドバイスもらってただけだ。旅行はお前と行くつもりだったんだ」 「え?」 綾は愁弥を起こして、抱きしめながら背中をさすってくれた。 「昔から愁弥が好きだったんだ」
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