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小説パート2(12)
前回は食べ物ばかりの話でお母さんの兄妹の事を書きました。今回はこの前行われた運動会の事を書きます。
毎年10月の第一日曜日に運動会は行われます。
運動会の練習をするのですが、何故か入場行進の練習をやらされる。僕はこれが大嫌いだ。行進の練習なんて、意味も無いし疲れるだけ、何の為に練習するのか分からない。不思議な事である。もしかしたらお爺ちゃんの記憶で考えているのかも知れない。
運動会で一番好きな競技は、50m走だ。僕が走るとみんな避けてくれて一番だ。何故避けるのかは定かでは無いが、私の邪魔をしたく無いのであろう。
その次は、騎馬戦。私はいつも馬に跨り指揮を執る。これもみんな避けてくれる。きっと僕が怖いのであろう。
玉入れも僕の得意のひとつだが、何故かみんな籠にいれずに玉が僕に飛んでくる。みんなコントロールが悪すぎだ。今度教えてあげないといけない。
お昼になったので、お弁当の時間だ。お母さんが美味しいお弁当を作ってくれた。お父さんは仕事で来れなかった。残念だ。妹はお弁当になると現れた。それまで何処に行っていたのかわからない。要領の良いやつだ。
お弁当はお母さんの得意料理のコロッケ。それにういろうが入っていた。
おかずの入れ物に空間が出来たので入れたらしい。お弁当を食べ終えて
ふと見ると妹がケンカしている。よく見ると、一年生の男の子と喧嘩してる。
原因は何かはわからないが、男の子が泣いている。妹は幼稚園児だ。
泣かされる男の子の方が歳上だ。なのに何故妹の方が強いのか?
また原因は何か?僕は理由を聞きに男の子の所へ駆け足で行った。
男の子は自分のおにぎりを取られたと泣いている。
妹に聞いたら、 「取ったのでは無い。柿の種と交換した」と言って本物の
柿の種を見せてくれた。男の子は、お菓子の柿の種と思って、おにぎりと交換したのだ。
おまえは、猿蟹合戦かと心の中で叫んだが聞こえる訳も無く男の子に「この種を植えると柿が出来るから我慢してね。」
と言うのがやっとだった。妹は母の作ったお弁当を食べたのにも関わらず、人のおにぎりを騙して取るなんて、なんていやしい女か。
これは将来気をつけ無いといけないと僕はその時強く思うべきだった。
此の事を感じなかった私は後年不運となるのだが、それはずーっと先のことであった。
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