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小説パート2(24)
ある日、お父さんが犬を貰ってきた。お母さんが反対する中、父は勇気を出して貰ってきた。
「ここは田舎だから番犬が必要だ」と父は母に言っていた。僕は何故、田舎だと番犬が必要になるのか分からなかったが、犬は好きなので嬉しかった。
妹は動物が好きでは無い。見るのは良いが世話をするのが面倒いといつも言っている。
犬の種類はボクサー犬。非常に面白い顔をしている。
父は「まだ子供だが、大きくなる」と言っていた。
普通なら血統書が付いているらしい。
買うと相当な金額らしい。いくらかは定かでは無いが。
父は此の犬をタダで貰ってきたみたいだ。其れには訳がありそうだ。
此の犬はボクサー犬だが、少し奇形らしい。
どこが奇形か分からないが、売る事はできないらしい。
普通は殺処分だったのかも知れないが、父が可哀想と思って貰ってきたのだろう。と僕は推測した。
でも此の犬、不細工な顔だが、愛嬌が有る。
有名な言葉に「美人は3日で飽きるが、ブスは3日で慣れる」とある。
正にそれである。その顔を見ていると、癒されるのである。父は犬の名前を 「ロン」と名付けた。
麻雀で上がる時に発する言葉から名前を頂いたそうだ。
「由緒有る名前だ 」と父は言っていた。
ボクサー犬は成長すると大きくなると聞いていたので、父は大きな犬小屋を作った。僕も手伝って作った。人が楽に入れるくらいの大きなものである。
「此れぐらい大きくなったら、立派な番犬になるのは間違いが無い」と父は言っていた。
僕もそう思った。大きくなって此の顔で睨まれたら、
誰だって怖い。良い番犬になるのは間違いが無い。
と、此の時は父と僕は確信を持っていた。
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