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小説パート2(7) 待ちに待った食事の時間だ。僕と妹はお子様ランチ。 お父さんとお母さんは、懐石料理。 幼稚園児と小学三年生と同じ物はないでしょう。 懐石料理とは言わなくても、妹との差はつけて欲しいと思っていたら、 お母さんが僕に天麩羅を差し出してくれた。「どれでも好きな物取って良いよ」 と優しく言ってくれたので、本当はエビ天が欲しかったが、お母さんも食べたそうなので、紫蘇の葉の天ぷらにした。 母は同じ様に妹に差し出すと、妹は遠慮も無くエビ天を取った。 私が妹を嫌いなのは、こういう事をするからだ。相手の気持ちも考えず、自分だけ良ければ良いという性格。腹が立つ。 母は、「エビ天が嫌い」と言って嬉しそうに笑ってた。 「だったら、最初から言ってよ。」と僕は心の中で叫んでいた。 父は美味しそうにビールを飲みながら、「このエビ天美味しい。」 と言った時、妹も「美味しい」とエビ天を僕に見せつけるかの様に食べていた。 僕は思った。いつか全てを妹に取られるのではないかと。 夕食も終わり、家族四人川の字より一本多い字で寝た。 家族全員で寝るのは、久しぶりだ。家では僕と妹は2段ベットで寝ている。 普段は父と会話する機会が無いので、僕は嬉しかった。 ただ、学校での出来事を話すと父は悲しそうにしていた。 父が悲しげなのかは、僕には分からなかった。 朝一番に目が覚めて、母を見ると、寝巻きの浴衣が何故か脱げていた。 続く
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