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何を言い出すんだ! 何を! 迷惑にしか思ってないよ!
「……大事な友達だと思っているよ」
「ふーん。ヒロポンはそう思ってくれてるんだ。それって友達以上恋人未満って感じ?」
「……まあ、そんなところかな」
全然違うけど、以前機嫌を損ねたら、大事にしていたウイスキーの山崎をラッパ飲みされたので、合わせるしかなかった。
「じゃあ、私が誰か他の人と結ばれたらショック?」
「え!? け、結婚っていうこと!? おめでとう! 茜の相手なら聖人みたいに立派な人なんだろうな!」
本音だった。茜と結婚生活を送るなんてダライラマでも難しいはずだ。それにしても、これで茜と完全に縁が切れる。やっとこの日が来たのだ。ママンも喜んでくれるに違いない。
すると、茜が不満げな顔をした。
「何かとても嬉しそうね」
「と、友達の幸せを喜ぶのは当然じゃないか!」
それでも、茜が仏頂面のままなので、仕方なく僕はこう付け加えた。
「……こういうときやせ我慢するのが男だろ?」
「やせ我慢かぁ。ゴメンね、ヒロポン」
「……いいよ。茜が幸せならそれで。こっちこそ気を遣わせてゴメン」
僕はストレスで胃が痛み始めたので、いい加減帰ってもらおうと思った。
「悪い。出張の準備で本当に忙しいんだ。お祝いはまた今度必ずするから……」
「テレビないじゃん。どうしたの?」
腹立つな~! 日本語通じてんのかよ!
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