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「あ、うん。盗まれたみたいなんだよ」
「へ~大変! でも、どうやって?」
「それが僕にもわからなくてさ。やっぱり警察に連絡した方が良いかな?」
すると茜はまたも脈絡のないことを聞いて来た。
「有美さんとうまく行ってるの?」
会話成立させる気あるのかよ!
「うん。うまく行ってるよ。心配してくれてありがとう」
しかし、茜は小首を傾げて不安そうな顔をする。
「本当にうまく行ってる?」
「行ってるって! 大丈夫だから」
「でも、あのテレビって有美さんが買ってくれたんでしょ? なくなったのマズくない? そういうところがダメなんだよ、ヒロポンは。全く。私がいないと何にもできないんだから」
その言葉で僕はイライラが抑え切れなくなり、思わず怒りを爆発させてしまった。
「大丈夫だって言ってるだろ! 僕は絶対有美と結婚するんだよ! もうママンに紹介だってしたんだからな!」
すると、茜は顔を軽くのけ反らせて、目を大きく見開いた。
「それなら、テレビがないのは余計よくないわ」
「通販で買うからいい」
「次いつ来るの? 今日、木曜だよ。間に合うの?」
僕が沈黙すると、茜は意外なことを言った。
「私が今ここでテレビを返してあげようか?」
「え……?」
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