ハイスぺ男子の憂鬱

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 そうして、心底申し訳なさそうに茜は言った。 「ゴメンね。今日の天宮寺龍子の番組見られなくさせちゃって」  僕が思いっきり赤面すると、茜は気の毒そうに言う。 「やっぱさ。自分の母親と同じ年齢の女性の推し活してるのはマズいんじゃない? そういうとこ、有美さんも嫌になっちゃったんだと思うよ。土曜日にヒロポンと別れ話するって言ってた」  僕は大声を出した。 「それは偏見だ!」  しかし、茜はカエルの面にションベンと言った風に応じる。 「ごめーん! 私、偏見の塊なんだ! 知らなかった?」  ……知ってた。  内心そう呟いた僕を前に茜はソファから立つと悠然とドアへと歩いて行く。そうして、ドアノブに手を掛けたところでくるりと振り向いた。 「あ、そうだ! 質屋の利息って高いから買い戻すなら早くした方がいいよ。思い出の品でしょ?」  バタンと音を立てて閉じたドアを見つめながら、僕はしばらく身動きすることができなかった。  ……やっぱりママンに電話しよう。                                《了》
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