第一章 目覚めた気持ち

2/10
前へ
/91ページ
次へ
と言うわけで、抵抗も虚しく俺は見合いをセッティングさせられた。 全く面倒だな、仕方なく会ってすぐに断ればいいかと思い、見合い場所へ足を運んだ。 相手のお嬢さんは二十歳、嘘だろ、どう言うつもりなのか、理解不能だ。 でも断る理由に年の差は好都合だった。 「後は二人で話をしてみなさい」 「そうですね」 相手のお嬢さんは松本真由香、松本ホールディングスのご令嬢だ、付き添ってきたのは叔母とのことだった。 「あのう、日下部さんはお医者様なんですって」 「そうです、最上総合病院の内科医をしています」 「最上総合病院、日下部総合病院の間違いではないのですか」 「日下部総合病院は兄が継ぐことになっているので、医学部同期の最上の病院で勤務させて頂いています」 「そうなんですか」 と、この先話が続かない。沈黙が流れる中、彼女が口を開いた。 「日下部さん、私、好きな彼がいるんです」 「えっ」
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加