第一章 目覚めた気持ち

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そしてスマホは切れた。 参ったな、ちょっと話聞いてやれば落ち着くだろう。 俺はそう鷹を括っていた。 急患が入り、病院を出たのが七時を回っていた。 俺は急いでマンションへ向かった。 十五分ほどで着く距離だったので、真由香さんに連絡しなかった。 駐車場に車を停めて、エントランスに向かった。 「真由香さん、すみません、遅くなってしまって」 そう声をかけると、真由香さんは俺の顔をじっと見つめて、俺に駆け寄ってきた。 そして、ぎゅっと抱きついてきた、咄嗟の出来事に俺は戸惑いを露わにしてしまった。 「あっ、あのう……真由香さん」 「先生にも振られたのかと思っちゃった」 「すみません、急患が入ってしまって……」 俺は結構背が高い方で、真由香さんは俺の胸くらいしかなくて、抱きつかれて、俺を見上げた時、彼女の上目遣いにドキっとしてしまった。 やばい、久しぶりの気持ちに戸惑っている俺がいた。
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