223人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてスマホは切れた。
参ったな、ちょっと話聞いてやれば落ち着くだろう。
俺はそう鷹を括っていた。
急患が入り、病院を出たのが七時を回っていた。
俺は急いでマンションへ向かった。
十五分ほどで着く距離だったので、真由香さんに連絡しなかった。
駐車場に車を停めて、エントランスに向かった。
「真由香さん、すみません、遅くなってしまって」
そう声をかけると、真由香さんは俺の顔をじっと見つめて、俺に駆け寄ってきた。
そして、ぎゅっと抱きついてきた、咄嗟の出来事に俺は戸惑いを露わにしてしまった。
「あっ、あのう……真由香さん」
「先生にも振られたのかと思っちゃった」
「すみません、急患が入ってしまって……」
俺は結構背が高い方で、真由香さんは俺の胸くらいしかなくて、抱きつかれて、俺を見上げた時、彼女の上目遣いにドキっとしてしまった。
やばい、久しぶりの気持ちに戸惑っている俺がいた。
最初のコメントを投稿しよう!