第一章 目覚めた気持ち

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彼女を抱きしめてキスをして、彼の事は忘れて俺にしろと言えたら、女性はキュンとするんだろうが、俺はそんな事は言えない。 「先生、先生の部屋に入れて、寒くなってきちゃった」 「すみません、どうぞ」 全く、妄想している場合じゃないだろう。 俺は真由香さんを部屋に迎え入れた。 「広い部屋、先生一人じゃ広すぎるでしょ、私が一緒に住んであげようか」 「それより、彼に振られたって、どう言う事ですか」 「うん、他に好きな子が出来たんだって」 「そうなんですか」 「やだな、先生が落ち込んでどうするの、先生は私を励さなくちゃ駄目でしょ」 「そうですね」 「先生、私お腹空いちゃったな、先生、夕飯はこれからでしょ、私も食べさせて、お願い」 「食欲あるなら、もう大丈夫ですね」 「なんか頭痛い」 「本当に、大丈夫?」 「先生、それじゃ、悪い女に騙されちゃうよ」 俺は二十歳の女の子に翻弄されっぱなしだった。
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