第十章 病院へ戻りたくないとわがままを言った彼女

7/11
前へ
/91ページ
次へ
『大我へ、大我とはじめて会ったのはお見合いだったね、私はその時体調が悪く、毎日不安な日々を過ごしていたの。だけど、大我がお医者さんって分かって神様の巡り合わせだって思った。それにすぐに大好きになったの、絶対に大我と結婚するんだって思った。でも、体調はごまかしようがないくらいに良くないって自覚があった。一回目の手術後、もしかしてこれで私は元気になれるんだと希望を持てたけど、二回目の手術を受けるって聞いて私の人生はこれまでかと覚悟を決めた。大我と結婚出来て嬉しかったよ。最後の望みは大我に抱かれたい、いっぱい愛してほしい……』 真由香、それで一晩だけでいいからマンションに帰りたいって言ったのか。 だから、起こさなかったことをあんなに怒ったのか。 最後だなんて退院してきたら飽きるほど抱いてやる。 もう、絶対にお前を離さないと心に誓った。 愛おしさが溢れて、俺は早くに病院へ向かい、真由香の病室へ急いだ。 真由香は眠っていた。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

224人が本棚に入れています
本棚に追加