第十章 病院へ戻りたくないとわがままを言った彼女

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真由香は少しずつ回復に向かっていた。 そんなある日、思いもよらぬ出来事が起きた。 真由香は車椅子でトイレにいけるまで回復していた。 私はトイレに行った帰り、ナースステーションを通りかかった時、看護師さんの話し声を耳にした。 ナースステーション横のドアがほんの少し開いており、そこから聞こえてきたのは「やっぱり癌だったんですってね、まだ二十歳なのに、もう手遅れで、何も出来ないままインオペしたって、最上先生の腕をもっても不可能なことはあるのね」と…… 信じられなかった。身体の力が抜けて、私はすぐに病室に向かった。 嘘、私、癌? 最上先生の嘘つき、助けられない命はないって言ってたのに、嘘つき。 私は布団をかぶって泣いた。 その日の夕方、手術後の診察に最上先生が私の病室を訪れた。 「真由香、どうだ」 私は布団をかぶって答えなかった。 「あれ、ご機嫌斜めなのか、大我はまたキスしてくれなくなったのかな」
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