第一章 目覚めた気持ち

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食事が終わって、久しぶりに楽しい時間を過ごしたと心がウキウキしていた。 このまま、返したくない、ずっと一緒にいたい、もう一人の俺が訴える。 二十歳の女の子の言葉を鵜呑みにしてどうするんだよ、彼女からしたらおじさんの年齢だ、冷静になれ、ちゃんと家まで送り届けろともう一人の俺が説教する。 そうだ、ちゃんと送り届けるんだ。 「真由香さん、家まで送ります」 さっきまで満面の笑みだった表情が曇ってきた。 「どうかしましたか」 「大我先生、私をずっとここにおいて」 「えっ」 びっくりしすぎて狼狽えた。 「叔母さんが無理矢理私を結婚させようとするの、先生から断りのお返事頂いて、そうしたらすぐに次のお見合いをセッティングされて、好きな人がいることを告げると、結婚の意思があるか確認したいって、会わせろって言われて、彼に叔母さんと会ってほしいと頼んだらそんな気持ちはない、面倒だから別れたいと言われて……」 「そうだったんですね」
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