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(振りほどけない……っ!?)
「へえ、お兄さん、三神峯さんって言うんだ。ごめんね? 俺のせいでかわいい唇に傷つけちゃったね。今後は大人しくしててね……っと!」
「ん、ぐ……っ」
男性は三神峯の社員証を見て唇をなぞり、男性の持ち物であろうタオルハンカチを口の中に無理やり押し込んだ。首を振って必死に抵抗しようにも腕が振りほどけず、あろうことか彼は三神峯のハンカチを奪い、タオルハンカチが詰め込まれたまま口を強く縛り付けたのだ。無様に男性を睨みつけることしかできないのが、非力すぎて情けなかった。
「っ……」
「大丈夫、痛いようにはしなからさ。てか見れば見るほど綺麗な顔してるじゃん。本当に男?」
抵抗する三神峯を無理矢理トイレの奥へと連れ込み、壁際に押し付けられて腕を上に押さえつけられた。抵抗が全くできない状況にこれではまずいと本能が警鐘を鳴らしているのに、振りほどくことも身を捩ることも何もできない。それに、口の中に詰められたハンカチの刺激に誘発されてこみ上げてくる吐き気が一番苦しかった。
(吐きそう、お願いだから離して……)
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