21人が本棚に入れています
本棚に追加
エレオノーラはメイドによって動きやすい服に着替えさせられ、護衛と共に馬車に乗って国内随一の野菜畑へ連れてこられた。
ニコラは先に馬で到着しており、快哉を叫んでいた。
「やはり、この国の畑はすばらしいですね! まず、土がいい!」
護衛に支えられてエレオノーラは大地に足をつけた。
城内の絨毯とは違い、柔らかくもありしっかりとした感触が伝わってくる。
(完全にこの者の調子に巻き込まれていますわ。わたしとしたことが……)
それでも拒否しなかったのは、城の外へ出るということが滅多になかったからだ。
こんな機会でもなければ野菜畑へ訪れることもなかっただろう。
「ようこそお越しくださいました」
畑主がエレオノーラに近づいてきて、雇人共々頭を下げてきた。
この者たちは、王女が野菜嫌いだと知らない。
エレオノーラは王女然として挨拶に応じる。
「王女さまがお越しになるとはとても光栄です! どうぞ心ゆくまでご覧になってくださいませ」
「えぇ。お言葉に甘えさせていただきますわ」
「王女殿下、ご覧ください。これがカロータの畑です!」
遠くからニコラが近づいてきた。
コックコートではなく、作業着。
明るめの茶髪にエメラルドグリーンの瞳が陽に映えてきらきらと輝いている。
しっかりとした体躯なのは、農作業でもしているからだろうか。
「カロータの……?」
最初のコメントを投稿しよう!