やっと気づいたこと

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 周平が豊元に告白をして五日ほどが経過したある日のバイト終わり、家に帰った俺の元に豊元からラインが届いた。 『蒼井くん、今から会えない?』 『今から?』 『お願い。どうしても話したいことがあって。わたしの家とか来れそう?』  なんだよ、なんなんだよ、そう思いながら俺は自転車を漕いでいく。絶対に周平のことだろうし、それ以外には考えられなかった。  嫌なら断ればいい。だけど、そうしないのはやっぱり気になるからだろう。  彼女の家に着いて連絡をすると、「入って」と部屋に案内された。  アパートの二階、八帖のワンルーム。 「狭くてごめんね」  ベッドとローテーブルとテレビと本棚と。  荷物はそこまで多くはなくて、小綺麗にしている。シンプルな部屋だった。  室内は暖房が効いているのか、とても暖かい。上着を脱ぐと、それを彼女はハンガーに掛けた。 「女の子の部屋とか、初めて入ったかも」 「そうなんだ……」  豊元はなぜか元気がなくて、何度も両手を口元に当てて息で温めている。 「寒い?」 「ううん、大丈夫」  あまり視線を合わせない彼女を見て、俺は疑問に思っていた。バカとか言ったり、家に呼んだり、なにがしたいのか。 「それで、どうしたの? 急に会いたいとかさ」 「……うん。あの、なんていうか」 「うん」 「……あー、緊張する。周平くんの気持ちがわかる気がする」 「周平? ど、どういう意味?」 「もう、ほんとに鈍感だよね。じゃあ言うよ。わたし、蒼井くんが好きなのよ。気づかなかった?」 「え、え、え」  頭の中がパニックを起こしていた。豊元が俺のことを好き? 周平は豊元が好き。じゃあ、三角関係ってこと?  なんだこれ、なんだよこの展開。 「ほんとに気づかなかったの? わたしずっと合図出してたつもりだったのに」 「いやぁ、えー、全然わかんなかった」 「はぁ、ほんと鈍感っていうか、なんていうか、でもそういうところも含めてわたしは蒼井くんが好きなのかなぁ」  なぜか恥ずかしそうに俯く彼女は、嬉しそうに笑っていた。
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