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ハローハロー。
未知なる惑星に降り立った小さなロボットは"カブ"と名付けられた。
ころんと丸みのあるフォルムの上部には液晶画面があり、シンプルなデフォルメの顔が表示される。
日本人の科学者は彼を見て「歩く炊飯器みたいだ」と可笑しそうに笑った。
開発者の技術と熱意によって、彼は半永久的に稼働し続ける事が可能となった。
いわば不死身のロボットというやつだ。
惑星には数十人の科学者と技術者が居住するようになった。
彼らはロボットに学習能力を身に付けさせると同時に、忙しなく動き回る小さなロボットを幼い子供のように可愛がった。
撫でたり話し掛けたり、ときには一緒にダンスを踊ったりもした。
長い年月を経てロボットの知能はもはや人間並み……否、人間以上のものとなった。
ひとり、またひとりと惑星に住み着いた人々は老いて亡くなっていく。
避けられない死のさだめを、愛する者達を看取りながらロボットは感じていた。
唯一最後まで残ったのは日本人の科学者だった。
美しかった漆黒の髪は真っ白に変わり果て、腰が折れ曲がり、無重力の空間で思い通りに動けない事も増えた。
「なあカブ、お前をたったひとり残して逝くのはとても辛いよ」
科学者はそう言うと、カブの頭をそっと撫でた。
「どうか最後の望みを言ってくれ、俺にできる事なら何だってするから」
カブはピプピプと音を鳴らしながら暫くの間、考えた。
本当の願いはこの先もあなたと一緒にずっとここで暮らすこと。
でも、そんな事を言ったら彼は安らかな気持ちで天国に逝けなくなるだろう。
けれど、あまりに多くを学び、そしてあまりに多くの愛情を知り過ぎた。
カブはベットに横になる科学者の元へ近付くと、彼の耳元で"最後の頼みごと"をした。
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