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6
私には、みんなと違う、私という個性をどのように育てればいいのか、それが少しも分からない。
ねぇ、どうしたらいいの?
どうしたら、みんなと一緒に、平等に、手を繋ぎながら仲良く過ごせるの?
――エラー
みんなと一緒なんて無理なんだ。
――エラー
平等なんて実現しない。
――エラー
感情の、熱のない者は。
好きな筆箱を選んでいたら。
可愛い鉛筆を使っていたら。
好きなものは好きとアピールして良くて、それを持つことを否定されない過去があったなら。私の今は、変わっただろうか。
分からない。
ぐるぐるループを続けている。
無限ループから抜け出せない。
私は、できるだろうか。
このループの終了条件を、正しく打ち込めるだろうか。
この、機械的な思考を、制御できるだろうか。
全部全部、誰かのせいだ。
個性を殺した誰かのせいだ。
それを「私にはどうにもできない」と放り投げたお母さんのせいだ。
鬱々とした沼に嵌りながら、ただ自己保存に必死になる。
あぁ、ガキくさ。
身体はもう成長が止まるほど、大きくなったっていうのに。
心、ガキくさ。
リファクタリングしなくては。
いや、いっそ、リライトしたい。
全部全部、やり直したい。
全部が無理なら、せめて――。
お母さんに撃ち込まれるくらい大喧嘩してでも、フリフリの筆箱に可愛い鉛筆を入れて笑う人生を、私は生き直してみたい。
私の感情は、もう死んでいた。
尖らせようとしても、丸い先端が出来上がる。
周りを敵と認識しても、攻撃できずに防御するだけ。
辛い、辛い。
ねぇ、返してよ。
私らしさを返してよ。
捨てることを半ば強制した、私の好きを返してよ。
――無くした個性
――取り戻せずに
――私は今日も
――ループの中
――了――
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