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ミカはロボットみたいだなって思うんだよ。うん。俺はもっと、あったかい人が好き。
告白するだなんて、生きているなかでかなりランク上位にある血の通った行為だと思うのだけれど、私はロボットみたいなんだってさ。
好きなんだったら告っちゃいなよ! もう卒業じゃん⁉︎
そう、友だちに背中を押された。
押されなかったら告白なんてしなかった。
押されたから告白をした。
そんな、今に至る過程を思い返してみれば、確かにロボットみたいな感じがして笑えない。
告白せよ、という命令を、処理しただけのロボット。
小さい頃から、みんなと一緒であることを求められてきた。
筆箱だって、鉛筆だって、何もかも一緒。
違う子がいたら、奇異の目で見て、ぐちぐち言う。
そのぐちぐちを止められるのは、「お下がりなんだ」という中古宣言だった。
新品を買ってもらえない可哀想なヤツ、というレッテルなしに、みんなと異なる選択をすることは、命令違反だったんだ。
これはたしか、遠くから引っ越してきた転校生を紹介しますって時だったと思う。
「十人十色。みんな違って、みんな良いんですよ」
転校生は、私たちからすれば変な訛り言葉を使う子だったから、多分そんなところを先生は気にしたんだと思う。
言っていることは理解できていた。
それが正しいだろうこともわかっていた。
でも、わからなかった。
みんなみんな、同じものを使って、お下がりじゃない、〝違うもの〟を排除してきたっていうのに。
みんな一緒なんだから、みんな悪いんだろうか。
一緒を選ばされている私たちは、悪いんだろうか。
訛り言葉のあの子は良くて、私たちは――。
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