純愛《緋禄side》

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咲輝と話さなくなってから、2週間ぐらい経っただろうか。 この2週間が2年ぐらい経ったかのように長い。 咲輝のいない生活って、こんなにつまらないものだったのかと改めて思った。 朝起きて、教室に行くのがだるい。 今日はずっとこのまま寮にいようかって毎日思う。 それは、俺が弱いから。 体も、心も弱い。 体調が良ければ授業に出ないと。 今まで咲輝がいるから頑張ってこれたのに。 嫌な環境になっちまったな… その環境を作ったのは俺だけど。 寮の自分の部屋のドアを開けて、教室へと向かおうとした。 一歩踏み出したドアの目の前に、立っていた人物―… 「咲、輝…!」 「おはよう緋禄。話がある」 咲輝はそのまま俺の部屋に上がり込み、俺の腕を掴んで部屋の鍵を閉めた。 「おい、待てよ。遅刻す…」 「話があるんだ緋禄」 咲輝の目線が怖かった。 こんなに威圧的な咲輝はなかったから。 だから、俺は黙って俯いた。 「お前が俺を避ける理由はなんだ?」 きた。 この言葉が来ると思った。 「…避けてない」 「嘘をつくな」 寺伝にバレてるぐらいだ、咲輝にもバレてるのは分かる。 怒ってるのかな? 俺がキスなんてしたから。 「俺があのゲームに参加すれば、お前は普通に戻るのか?」 「ゲームって…」 「『恋人ごっこ』だろ?」 思い出を、作りたい。 俺もお前も忘れない思い出を。 だから、嫌になればリセットして忘れればいい。 リセットすれば―… 俺には時間が無いんだ。 「そうだよ。ゲームがしたいんだよ俺は」 ずっとお前といたいから、ゲームをしたい。 お前の記憶に残りたい。 「気持ち悪いだろ、こんなゲーム」 咲輝に嫌われたくない。 今まで通りで構わない。 思い出になりたい。 矛盾だらけで苦しい。 「!?」 俺の顔を持ち上げて、咲輝は俺にキスをした。 「俺は嫌だとは言ってないだろ。なんで避けるんだ。返事も聞かないで」 咲輝は少し怒りながらも優しく俺を見つめる。 それは、俺が親友だから参加するのか? それとも、恋愛感情があるのか? それは聞かなかった。 大事なのは、 俺がお前を好きで、お前が俺を好きかどうかはいいから。 時間の無い俺の、最期のワガママ。 ありがとう、咲輝。 俺はひとつ咲輝を挑発してみた。 「恋人ってのは抱き合うもんだぜ?」 そう言うと、咲輝はしばらく無言になった。 真面目な咲輝がそんなことするわけないか、と思った瞬間―… 咲輝が俺を押し倒した。
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