4人が本棚に入れています
本棚に追加
1
どことも知れぬレトロな映画館。
ここの映写室で、一人、働く男がいる。
彼は、いつも不可解に思っていた。
昨今、エンドロールの最後まで観る人が、かなり減っている。
映画の余韻というものは、他のエンターテイメントには与えられない、何物にも代えがたいものがある。
その余裕がない人生には、どこか虚しさを感じざるを得ない。
あれやこれやと小難しいことを考えているうちに、上映時間が迫ってきた。
次の客はどうなのだろう。
カカカカと幕が開く。
最初のコメントを投稿しよう!