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 どことも知れぬレトロな映画館。  ここの映写室で、一人、働く男がいる。  彼は、いつも不可解に思っていた。  昨今、エンドロールの最後まで観る人が、かなり減っている。  映画の余韻というものは、他のエンターテイメントには与えられない、何物にも代えがたいものがある。  その余裕がない人生には、どこか虚しさを感じざるを得ない。  あれやこれやと小難しいことを考えているうちに、上映時間が迫ってきた。  次の客はどうなのだろう。  カカカカと幕が開く。
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